〈社会人野球〉シティライト岡山 “勝負の3年目バッテリー” 米田知弘投手、江川航捕手インタビュー
2021年より『My Star Online Store』での応援グッズ販売をスタートした社会人野球チーム、シティライト岡山。
インタビュー第3弾となる今回は、2020年同期入社バッテリーの米田知弘投手、江川航捕手のお二人にお話をうかがいました。
▼過去インタビューはこちらから
第1弾 “全国ベスト8へ” キャプテン丸山高明選手インタビュー[記事はこちら]
第2弾 1年目から守備の要を担う“期待の新人” 谷本大晟選手インタビュー[記事はこちら]
――まずはシティライト岡山への入社のきっかけと、入社前のチームの印象があれば教えてください。
米田 僕はプロ(NPB)を目指していて、大学生の頃は正直社会人野球のことはあまりわかりませんでした。残念ながらドラフトは指名漏れしてしまい、また当時は怪我をしていたこともあり社会人企業チームの入社に向けた練習にもあまり参加できない状況でした。そんな中、高校・大学の先輩の藤澤さん(藤澤壮太 投手)がいたこともあり、ご縁があってシティライトへの入社が決まりました。
入社前年の2019年には、選手権に出場したシティライトの試合を実際に京セラドームに見に行きました。その時は”打つチーム”という印象で、ピッチャーである自分はとにかく失点を少なく抑えてチームに貢献しようと思ったのを覚えています。
江川 僕は米田と真逆で、大学生の頃から社会人企業チームに行きたいと思っていました。しかし、進路を探している時、社会人野球は狭き門だと実感しました。シティライトへは自ら練習に参加したいとお願いして、その後練習参加を経てなんとか入社させてもらえることになりました。
入社前は現地観戦には行けませんでしたが、オンラインで2019年の試合の様子を見ていました。二大大会に出場したことでチームの名前もよく聞くようになって、強くなってきているのを感じていました。
――実際に入社してみて、社業と野球の両立はいかがでしたか?
江川 昼過ぎまで働いてから練習なので、その生活に慣れるまでは大変だなと感じることもありました。ある程度生活の流れが分かるようになってからは、少し気持ちの余裕を持って仕事も練習も取り組めるようになっていきました。
米田 僕は逆で、仕事自体が苦痛だと感じることはあまりありませんでした。入社してすぐに怪我をしてしまい通常の練習ができずにいました。そのため、会社への貢献ということを考えた時、「今は野球ができない分、仕事で貢献しよう」という思いが強くありました。また、入社当初の2020年春頃はちょうどコロナウイルスの感染者がすごく増えている時期で、チームとしても全体練習を行うことが難しく、しばらくは勤務のみの日々が続きました。社会人野球の本質と言うんでしょうか、”会社があってこそ野球ができる”ということを改めて意識した期間でもありました。
――そんなコロナ禍での過ごし方はいかがでしたか?
米田 チームの全体練習が無い期間は、身体を鍛え直しながら、どうすれば怪我をせずシーズンを通して戦えるかなどを改めてじっくり考えることができたので、自分にとっては良い時間だったと思っています。その間、現役時代にすごく熱心に練習やトレーニングに取り組まれていた馬場さん(昨年引退の馬場康一郎さん)や、児山さん(児山祐斗 投手)と野球の話をする機会が多くありました。そういった時間がプロに行きたいというモチベーションにも繋がったし、コロナの間に怪我を治してしっかり投げれるようになり、9月末からの都市対抗予選で結果を出したいと思いました。いつもの活動ができなくてもとにかく何かを得られる一年にしたいという思いが強かったです。
江川 またこれも米田と真逆なんですが…、ついに社会人野球ができる!と思って入ってきたのにコロナで大会が中止になるなど、思うように動けないもどかしさが僕にはすごくありました。そのせいでモチベーションの維持が難しく、正直なところ一年目は僕にとって大変な一年間でした。
僕の父は元々僕が野球をすることをすごく応援してくれていて、普段からよく野球の話をするんですが、苦しかったその期間も色々と相談していました。そんな時、「今、社会人で野球ができていることが何よりも幸せなこと。ハタチをこえて二十代も半ばに差し掛かる今、こんなにも真剣に野球ができている人はなかなかいないんだぞ」という言葉をかけられ、今のままじゃダメだと練習に熱が入るようになりました。ありがたいことに色々な方から声をかけてもらいましたが、やっぱり親の存在は大きいなと感じました。
――入社前年のチームの活躍(都市対抗・選手権ともに本戦出場)をプレッシャーに感じることはありませんでしたか?
江川 プレッシャーというよりは、大学の頃から社会人で野球をしたいと思っていた僕自身、二大大会の舞台に立ちたいという思いが元から強くありました。入社前年に本戦への出場を果たしたことで期待も高まって、今後はもっと上を目指すことになるだろうというのは自分でも思っていたし、入ってみてそれを実感しました。ですが、それ以降本戦出場ができていないので、なんとしても今年は出たいと思っています!
米田 前年のチームの活躍があり期待してもらったところでの入社だったのに、自己管理ができなかったことで怪我をしてしまい…。入社のタイミングでチームと一緒にスタートできず、その時点で期待に応えられないことが申し訳なかったです。個人的には、小中高大とこれまで野球をやってきた中で一度も全国大会というものを経験したことが無いので、社会人ではその舞台を経験してみたいです!
――コロナの影響を大きく受けた2020年だったようですが、初めて通常の大会のあるシーズンを過ごせた2021年はどのような年でしたか?
江川 選手権予選も都市対抗予選も共通して言えることですが、大差で負けた試合というのがほぼ無くて、中国地区自体がそこまで力の差は無いと僕は思っています。やっぱりあと一点が取れなかったり無駄な一点をあげてしまったり、本当に競っていると思うんですが、だからこそ悔しくて…。昨季、僕は一年を通して試合に出させてもらって、1年目にはわからなかった社会人野球の雰囲気、大会の雰囲気というのを初めてわかるようになりました。それを今年こそは活かせるようにしたいです!
米田 昨年を振り返ると、2月・3月のオープン戦は結構打ち込まれてしまって正直不調で…。大丈夫かなと不安を抱えたまま公式戦に臨むことになりました。でも、対NTT西日本さんとの試合である程度の成績を残すことができ、そこで少し自信をつけることができました。1年目は大会の中止もあり試合もなかなかできない状況だったので、自分の実力がどこまで通用するのかという指標、ボーダーというようなものを初めて感じられた瞬間でした。
また、ドラフト解禁の年ということもあり、シーズンスタート時期の不調というのは自分にとって結構な焦りでした。この頃は山本さん(昨季引退されたコーチ 山本樹さん)とよく話をしていて、厳しい言葉をかけてもらって泣かされることも…(笑)この頃は、プロに行かなきゃという想いが重荷となって自らを苦しめてしまっていることに気づかされて、プロへの意識をあえて持たないようにしようという話もしました。そこからは気持ち的にも吹っ切れて、成績が少しずつ良くなっていきました。そして、その後一年を通して投げきることができたので、この苦しみは本当に良い経験になったし、これを3年目の今年も活かしていかなきゃいけないなと思っています。
――苦しい時に支えてもらった方々のお話をうかがいましたが、そのほかに普段から特に接点の多いチームメイトはいますか?
米田 児山さんをはじめ、ピッチャー陣とよく話します。それともちろんキャッチャーの江川とは「あのボールどうだった?」などの話はとことんします。
プライベートで言うと、江川、谷口(同い年で2021年入社の谷口蓮 内野手)、佐々木良輔(2021年に引退)とは特に仲が良くて、コロナで出かけられない間よく家に集まっていました。
江川 自分がキャッチャーなのでやっぱりピッチャーとはよく話しますが、ポジション関係なくいろんな人と話すようにしています。自分には持っていなかったな、という視点に気付かされたりもするので、野手にもまんべんなく話を聞こうと心がけています。
――バッテリーのお二人のお互いの印象、それぞれどんな選手かぜひ教えてください。
江川 米田は、野球では力投型。“熱投”という感じの思いっきり腕を振って投げるタイプです。でも、そんな勢いのある野球を見せる反面、普段はめちゃくちゃ真面目なんです。ものすごく人に気を遣える人間です。1年目の配属が同じ職場だったんですが、仕事も早いし結構きっちりこなすタイプで、見ていて自分もしっかりしないとなと思わされていました。
米田 江川の最初の印象は、“ちゃらんぽらんな人だな、大丈夫かな?”でした(笑)でも月日を重ねるうちに人間性を深く知るようになって、野球のことを真剣に考えているし、人のこともよく気遣っている姿を見るようになりました。年齢が上の人からも下の人からも同期からも好かれて、江川のことを嫌いな人はいないんじゃないかなってくらいです!そんな人柄もあり、副キャプテンに選ばれるのも納得ですし、野球においては本当に頼れる存在です!
――ご自身ではチームにおける自分の役割をどのように考えていますか?
江川 今のチームは年齢の話をすると、下は20代前半、上は30代と、その間の世代があまりいない状況なんです。僕はその間の“つなぎ役”となって、チーム全体が同じ方向を向けるようにしたいと思っています。また、副キャプテンになったので、キャプテンの丸山さんの考えもよく聞くようにしています。「自分から発信するように」と声をかけられているのでそれはもっと意識しつつ、キャッチャーとしても、ピッチャーをはじめ試合を引っ張っていかなきゃというのもあります。存在感をもっと出していきたいと思っています!
米田 自分自身プロ入りというところは今年がラストチャンスかなと思っているので、結果を残すことがまず第一だと思います。ですが、今年はピッチャーが多く入ったし、その中にはプロを狙えるような選手もいるので、結果を見せることに加えて野球に取り組む姿勢という点で“良い見本になること”が大事だと思っています。1、2年目は自分のことでいっぱいいっぱいだったので、3年目は見られているという意識を持ちながら、それを自身のモチベーションにもうまく繋げていきたいです。
――まもなく都市対抗の予選が始まりますが、ほかのチームとの対戦で意識していることなどはありますか?
米田 昨年、JFE西日本さんと公式戦で3回ほど戦って、すべて先発で投げて負けてしまっているので、そろそろ勝ち星をあげたいです!あと、新人のピッチャー陣には注目して見てほしいです。正直、昨年は重要な試合となると3人ほどでまわしているような状況でした。ですが今年は、自分自身うかうかしていられないと感じるほど実力のある選手が集まった豊作の年だと思っているので、ピッチャー陣の活躍には期待しています!あ、あとキーマンは自分も!!(笑)
江川 中国地区はどのチームも競っていて強いですし、とても気になる良い選手もいますが、負けたくないので名前は出さないでおきます(笑)そして自分がキーマンになります!!自分が引っ張ります!頑張ります!僕を見てください!
――熱い言葉を聞かせていただきましたが、ぜひ今の目標・意気込みを聞かせてください!
江川 “全国大会ベスト8”、そこしか見ていません。昨年も掲げていた目標ですが、全国に出るのは通過点くらいに思ってやっていかないと難しいということはよくわかっています。高い意識を持って、なんとかこれを達成したいです。
僕個人、キャッチャーとしては、今年はピッチャーが多く入ったのでコミュニケーションをよく取るということをとても意識しています。そういったことをちゃんと積み重ねて、競っている中を勝ち上がっていきたいです。
米田 意気込みでいうと”プロへ”という思いが強くあります。入社前の印象から変わらず今も打線の強いチームだと思っているので、あとはピッチャーである自分がプロへ行けるほど活躍していればチームも全国大会に出られると思います。なので、結果にはこだわっていきたいです。僕もだんだんと年齢的に上から数えた方が早くなってきたので、下の選手たちはもちろん、上の方々も含めて全体を引っ張っていける、チームの中心選手になっていきたいと思います。
――ほかにも「この人のこんなところを見て!」があればぜひ教えてください。
江川 まずは、田嶋(田嶋大聖 捕手、2021年入社)。バッティングが良くて、まわりからもすごく評価されていると思います。
それから、谷本(谷本大晟 内野手、2021年入社)!良くも悪くも目立つようなキャラクターです。昨年、入社1年目から守備の要であるショートのポジションを1年間守り続けたという実績は、チームの守備面は谷本が引っ張っていた、ということだと思います。守備は昨年と同じように、そして打撃面をパワーアップすることができたら、さらにチームの中心を担う良い味のある選手になるだろうと期待しています。
米田 村上くん(村上稜マネージャー、2022年入社)!今年から入ったマネージャーさんです。「日本一のチームにする!」と言って、とても頑張ってサポートしてくれています。選手ではないですが、チームの大事な戦力です。
それと、坂口さん(坂口湧希 外野手、2016年入社)。前までは割と練習が終わるとすぐ帰るキャラでした。でも、去年の都市対抗予選が終わって新チームになった頃から、居残り練習もトレーニングもものすごくするようになったんです。ほかの先輩方ももちろん普段から真剣に取り組まれていますが、去年と比べると人が変わったかのように、“チームのために”という姿勢をたくさん見せてくれる坂口さんには驚かされていて、今年の活躍に期待せずにはいられません。
江川 あとやっぱり絶対外せない人がもう一人いました!丸山さんです!!(笑)
米田 それは僕もです!!(笑)
江川 いや、でもこれは本当に、冗談ではなくて!まだ副キャプテンになったばかりの自分にはわからないことも多いんですが、やっぱりいろんな面でチームを引っ張ってくれているなというのを感じます。今年の丸山さんにもぜひ注目してください!
――昨年から選手たちの応援グッズが販売されましたね。反響はありましたか?
江川 僕のまわりには欲しいと言ってくれる人が結構いて、買ってくれたようです。それで応援してもらえたら選手たちはやっぱりすごく嬉しいです!昨年はまだコロナの影響があり現地に行けないことも多かったと思います。状況が良くなってきたら、今年はぜひ、グッズを持って球場に来てほしいです。ベンチに戻る時にスタンドの様子がちょっと見えたりするので、応援してもらえてるというのを感じるとさらに頑張れます!僕は、タオルを掲げて応援、どんどんやってほしいです!!(笑)
米田 応援グッズの発売時に僕は自分のInstagramに載せました。すると、欲しいという声をいただけたので嬉しかったです。お金を出してわざわざ買っていただけるというのは本当にありがたいことなので、それこそ自分もその気持ちにはしっかりと応えたいとすごく思います。それと、“米田知弘”のタオルでスタンドを埋めたいなという気持ちはあります!(笑)
――最後に、応援してくださる方々へメッセージをいただけますか。
江川 “全国ベスト8”を目指す思いを、去年以上に強く持ってやっていきたいと思っています。「自分たちが野球をできているのは会社のおかげ」ということは監督からの話にもよくありますが、個人として社業と野球の両立というのを大前提に、そしてやっぱり、お世話になっている会社の方々みんなに応援してもらえるようなチームにならないといけないと思っています。会社のためにも、周りのみんなのためにも。なんとか結果で見せたいです。
米田 厳しいですが、“結果がすべて”だと思っています。良い試合をしたけど負けたというのでは意味がないし、“どんな形でも勝って、全国に行く”、そういう気概で常に試合に臨みたいです。会社の方々や応援の声をかけてくれる友達、試合を見に来てくださる社会人野球ファンの方々に、さらに応援したいと思ってもらえるような姿を見せられたらと思います。
コロナなどで現地には来られないということもあるかと思いますが、チームのSNSで野球部のことを発信したり試合の様子をライブ配信してたりもするので、ぜひ見ていただきたいです。また、グッズなども含め応援のメッセージ一言でもSNSを通して見ることができれば、それは僕たちにとってすごく大きな力になります。皆さんからも力をいただきながら、僕自身勝負の3年目、なんとしても全国にチームを導けるように頑張りますので、応援をよろしくお願いします!
◯インタビュー選手紹介
米田知弘(よねだ ともひろ)
1997年7月5日生まれ
和歌山県出身 橋本高校 ‐ 大阪大谷大学
右投右打 投手
江川航(えがわ わたる)
1998年1月21日生まれ
兵庫県出身 神港学園高校 ‐ 山梨学院大学
右投右打 捕手 シティライト岡山副主将
■「シティライト岡山 硬式野球部」
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